カッコウ Ⅱ
「ちょっと、その辺を見てくるわ。」

しばらく待っても帰らない大翔。

みどりは急に不安になり、車の鍵を手に家を出た。
 

駅前に車を停めて、しばらく待ったけれど大翔は下りて来なかった。

駅の周りを少し走って家に戻る。
 
「ヒロ、帰ってきた?」母は首を振る。
 
「どうしたんだろうね。」

何度電話をかけても大翔は出ない。
 
「うん。」とみどりは答えて部屋に入る。

泡立つ不安はみどりに最悪の想像をさせる。

こんな時、孝明ならどうするだろう。

助けてほしい。大翔を。

みどりは涙を流していた。
 


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