カッコウ Ⅱ
その夜、哲也からの連絡で、みどりが大翔の無事を知ったのは10時過ぎだった。

ほっとして、厳しくみどりを責める哲也の言葉も目に留まらない。
 

「お母さん、ヒロ、哲也の家にいたわ。」

部屋を出て母に伝えると、
 
「何だよ。もっと早く連絡してくればいいのに。」

母が安心した顔で言う。
 
「本当よね。心配して損したわ。」

みどりも平静を装って言う。
 
「でも、どうして急に哲也の家に行ったんだろう、ヒロは。」

母の言葉に
 
「昨夜、私が怒ったのよ。試験前なのにゲームばかりしているから。」

みどりは咄嗟に嘘をつく。そして、
 
「じゃ、おやすみ。」と言って部屋に戻る。


これ以上、母と一緒にいることが苦痛で。

平気な顔を続けることが苦痛で。

部屋に戻ったみどりはベッドに伏せて涙を流した。
 


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