カッコウ Ⅱ
哲也も由美も大翔をお客様扱いしない。

だから大翔は2週間近く哲也の家にいた。

母がいない時間に必要なものを取りに帰る。


祖母は寂しそうに
 
「ヒロ、もうお母さん、怒ってないから。そろそろ帰っておいでよ。」と言う。
 
「うん。もう少し。」

大翔は祖父にも祖母にも、何も話さなかった。
 
「祖父ちゃんもハルも、寂しいって。」

祖母の言葉は温かく大翔を包む。

でも大翔はまだみどりの顔を見て、平気でいられる自信がなかった。
 
「祖母ちゃんが一番寂しいくせに。」大翔が笑うと、
 
「そりゃそうだ。」と祖母も笑った。
 


< 77 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop