カッコウ Ⅱ
「お母さん、なんでお兄ちゃん帰ってこないの?」
終業式の夜、みどりに成績表を差し出す悠翔が聞く。
「喧嘩したの。お母さんが怒ったから。お兄ちゃん、反抗しているのよ。」
何も知らない悠翔に誤魔化すみどり。
「珍しいね。お兄ちゃん、いつもお母さんを困らせるなって俺に言っていたのに。」
悠翔の言葉に、みどりはハッとして顔を上げる。
「そうなの?」驚いて聞き返すみどり。
「うん。お兄ちゃんと俺で、お母さんを守るって。お父さんと約束したからって。ずっと言っているよ。」
みどりは初めて聞いた。
大翔は小さい頃から我儘を言わなかった。
色々なことを我慢してくれた。
それは全部、みどりを守る為だったのか。
「そうだったの。お母さん、知らなくてお兄ちゃんを怒り過ぎたわ。あとで謝っておくね。」
みどりは胸が熱くなって悠翔の前から立ち上がる。
大翔の思いやりに気付かず大翔を傷付けてしまった。
大翔の心にはずっと孝明がいる。
孝明が大翔を導いていた。
それなのに茂樹に救われようと思ったみどり。
自分の浅はかさに涙が溢れる。
終業式の夜、みどりに成績表を差し出す悠翔が聞く。
「喧嘩したの。お母さんが怒ったから。お兄ちゃん、反抗しているのよ。」
何も知らない悠翔に誤魔化すみどり。
「珍しいね。お兄ちゃん、いつもお母さんを困らせるなって俺に言っていたのに。」
悠翔の言葉に、みどりはハッとして顔を上げる。
「そうなの?」驚いて聞き返すみどり。
「うん。お兄ちゃんと俺で、お母さんを守るって。お父さんと約束したからって。ずっと言っているよ。」
みどりは初めて聞いた。
大翔は小さい頃から我儘を言わなかった。
色々なことを我慢してくれた。
それは全部、みどりを守る為だったのか。
「そうだったの。お母さん、知らなくてお兄ちゃんを怒り過ぎたわ。あとで謝っておくね。」
みどりは胸が熱くなって悠翔の前から立ち上がる。
大翔の思いやりに気付かず大翔を傷付けてしまった。
大翔の心にはずっと孝明がいる。
孝明が大翔を導いていた。
それなのに茂樹に救われようと思ったみどり。
自分の浅はかさに涙が溢れる。