ウチの塩が切れました。
「それに塩崎くん、目立つし。……一緒にいると、私まで見られるからやだ」
違う。本当はこんなことを言いたいんじゃない。
だけど、思ってることは事実。
私と塩崎くんは付き合ってるわけじゃない。
それなのにこの距離感は、明らかにおかしいって───知らないフリができるほど、私は強くもなければ器用でもないから。
「じゃあ、俺がすげー髪伸ばしてメガネかけてマスクつければいいってこと?」
「そういうことじゃなくて……!」
それに、それは学校内の女子が泣くよ。
あと、そんな格好で付いてきてたら捕まるよ。
……塩崎くんは、どこかズレている。
「なに?じゃあどうすれば俺は莉心のそばにいられんの?」