私の仮恋人は親友のお兄さん
私が勝手にドアを閉めてから
5分もなかったと思う
家にこのまま帰ったほうがいいのか
それとも果恋ちゃんが出てくるのを
待っているべきか
悶々と悩んでいると
濃いグレーのワイシャツに
黒いスーツのズボンを履いた
男の人がドアを開けてくれた
さっきまで裸だった
果恋ちゃんのお兄さんらしき人だ
「妹の友人だってね
中へどうぞ」
にっこり笑う顔は
格好いい
でも上半身裸の姿が
脳裏から消えず
私は顔に熱をもったまま
頭を何度も下げて
玄関へと足を踏み入れた