私の仮恋人は親友のお兄さん
「居間に妹がいるから
ソファに座っててくれる?」
柔らかい口調に
まろやかな声が
似合う人だ
声のトーンも
少し低めで
男らしい
「お兄ちゃん、早く紅茶
淹れなさいよ」
「うるせぇな
自分でいれろっつうの
俺はこれから仕事だって
知ってるだろうが」
私の前を歩いていたお兄さんの
雰囲気が一気に変わる
強めの口調で話す
お兄さんはちょっと怖い
「だから可愛い妹のために
休めってメールしておいたでしょう?」
「メール?
んなの知らねえよ」
「そうやって
可愛い妹のメールを
無視するんだから
あ~あ、ヤダやだ
これだから
仕事マンは嫌いなのよ」
「あのな…
本当に知らねえんだよ」
「じゃ、今すぐ
休みの電話をいれなさい
お兄ちゃんくらい
いなくたって
仕事なんてどうにかなるから」