私の仮恋人は親友のお兄さん
「木下?」

低い声に呼ばれる

え?
なんで
ここに私を知っている男の人が
いるっておかしくない?

私は呼ばれた声の主を探した

「あ
瀬戸内 梧郎」

中学の同級生だった
同じ陸上部で
女子に人気のある
女たらしだ

…という記憶しかないんだけど

「覚えてくれてたんだ」

「いや…
あんまり記憶にないと
言えば
ないかな」

「ひどいな~
同じ部活だったのに」

「だって
クラス違うし
競技も違ったから

接点ないでしょ?」

「まあね」

「瀬戸内 梧郎って
金持ちだったんだ」

「それは
俺が聞きたいけど?」

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