私の仮恋人は親友のお兄さん
アップにしていた髪をほどき

ドレスも脱ぐ

中学の頃に使っていた赤ジャージを
着ると
ベッドに腰をかけた

そっか
廉人さんにも
お礼しないといけないんだ

何がいいのかな?
高価なものは買えないし

何か手作りを…

マフラーとか?
手袋とか?

いらないか
ブランド物が買えるし

ビーズアクセサリーは?

それも買えるし

思いつかないや

料理は?

…廉人さんのほうが上手だった

私がベッドに倒れこもうとすると
携帯が鳴った

果恋ちゃんからだった

「もしもし?」

「今、どこ?」

果恋ちゃんが早口で聞いてくる

「え?
家だよ」

「どうして、家にいるの?
お兄ちゃんが必死に探しているよ」

「あ…うん
麗華さんに追い返されちゃって」

「はあ?
誘っておいて、追い返すなんて
失礼な女ね

わかった
お兄ちゃんには知らせておくから」

「あ、果恋ちゃん
廉人さんに一週間
ありがとうございましたって
伝えておいてくれる?」

「え…?
あぁ、うん
伝えておくよ」

歯切れの悪そうに
果恋ちゃんは返事をすると
電話を切った

どうしたのだろう?
< 155 / 204 >

この作品をシェア

pagetop