私の仮恋人は親友のお兄さん

「時間だよ
俺は会議に行く

送れないけど
一人で帰れるね？」

廉人さんは立ち上がった

会議まであと１５分あるのに
廉人さんは
ドアに向かって
歩き出した

私も立ち上がると
後を追いかけた

廉人さんはドアを開けてくれると
冷たい目で
ほほ笑んだ

「父が…お世話になります
それと
ご迷惑をおかけしました」

私は小声で言うと
廉人さんに
頭をさげた

ドアの横に立っている秘書の横を
通り過ぎると
私はエレベーターのボタンを押した

私が
廉人さんとの関係を打ち切った

私が…

どうして？

だって一週間だって
決まりだったから

それ以上は
廉人さんに迷惑だと思って

住んでいる世界が違うし
仕事が忙しそうだし

私がいたら
廉人さんの足手まといだから

私は涙があふれてきた

今度こそ
最後な気がした

ここで
私が気持ちを言わなければ

もう廉人さんと私の関係は終わる

そう感じた

でもどうしていいか
私にはわからないよ

エレベーターの扉が開いた

私は乗り込むと
ドアを開けたまま
私を見ていた廉人さんに
頭をさげた

堪えていた涙が
頬を流れ落ちていく

顔をあげると
エレベーターの扉が閉まり始めた