私の仮恋人は親友のお兄さん
準備室を出ると
久我っちが苦笑いしながら立っていた

「鍵しめるけど
忘れ物はない?」

「はい」

久我っちはドアの鍵をしめた

「先生は果恋ちゃんと
別れるんですか?」

久我っちはさびしそうにほほ笑むと
首を横に振った

「我がままな妹で悪いな」

廉人さんが謝った

「果恋が強情なのは知ってるから」

果恋ちゃんはどこに行っちゃったのだろう
理科室にも姿は無かった

廊下に出ると
果恋ちゃんが
笑顔で待っていた

「私、花音と帰るから
男二人は一人で帰りなさい」

果恋ちゃんは
私の手を握ると

廉人さんと
久我っちを置いて

さくさくと歩き始めた

「果恋ちゃん?」

「私の口から
ちゃんと話させて

兄貴から聞いたら
ねじ曲がった情報を
刷り込まされちゃうから」

果恋ちゃんらしい口調だ

安心した

私にきちんと話してくれる
それが嬉しかった
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