私の仮恋人は親友のお兄さん
私は鞄を持つと
勢いよく席を立った

「トイレ!」

隣に座っていた雅人さんの足を跨ぐと
走ってドアに向かった

「え?」

雅人さんの驚いた声がした

ボーイさんが
私の腕を掴もうとするが

一足先に私は身をかわして
店の外に出た

早く走るのには
自信がある

中学が陸上部で
短距離の選手だったから

瞬発力には誰にも負けない

店の外は

夜10時だというのに
街は明るいし
人通りも多かった

全く人気がないと心配になるけど

私は安心して
人の流れに身を任せて

駅へと向かった
< 53 / 204 >

この作品をシェア

pagetop