私の仮恋人は親友のお兄さん
「お早いお帰りで…」

私は苦笑いをする

「送るっつっただろ」

「お仕事中だったので」

「でも
俺は送ると言った」

「お客様を放っておかれるのは…」

「送ると言った!」

廉人さんの語尾が強くなった

「無事に家に帰ってこれましたし…」

「帰る家が違うだろ」

私は廉人さんに腕を掴まれて
車の中に入れられた

車の中は
煙草の臭いが充満していた

夕方乗ったときは
何の匂いもしなかったのに

「あんた
何なんだよ!」

廉人さんが
苛々していた

「日中は
驚くほど
良い女だったのに

いきなり帰りやがって
意味、わかんねえ」

運転席に座った廉人さんが
愚痴をこぼした

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