夏色メモリー【完】
「川藤くんの私服なんか新鮮だねっ!」
川藤くんは、背格好も良く、細身で、ジーンズがとても似合う。
Tシャツも気取ってない、川藤くんらしいシンプルな白のTシャツだ。
「ああ、そう?俺はいつもこんな感じだよ。矢野さんはなんか可愛らしい服着てんね」
「えっ」
その日の私はギンガムチェックのワンピースに、少しヒールのある黒のサンダルを履いていたのだけれど。
″可愛らしい″だなんて、人生で言われた経験もなく。
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。