夏色メモリー【完】



「川藤くんの私服なんか新鮮だねっ!」



川藤くんは、背格好も良く、細身で、ジーンズがとても似合う。


Tシャツも気取ってない、川藤くんらしいシンプルな白のTシャツだ。



「ああ、そう?俺はいつもこんな感じだよ。矢野さんはなんか可愛らしい服着てんね」


「えっ」



その日の私はギンガムチェックのワンピースに、少しヒールのある黒のサンダルを履いていたのだけれど。

″可愛らしい″だなんて、人生で言われた経験もなく。


思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。


< 2 / 36 >

この作品をシェア

pagetop