夏色メモリー【完】
「川藤くん、ごめんね?」
かき氷も買い終え、自分たちの席に戻る途中、私は川藤くんに謝った。
私とカップルに見えるって、きっと嫌だよね。
もしかすると、私が知らないだけで川藤くんには付き合っている人がいるかもしれないのに。
「なんで?俺ら、はたから見るとそう見えるんだ、って思っただけだよ?」
「でも、川藤くん好きな人とかいたら誤解されちゃうんじゃない?」
たぶん、この球場には私たちの他に知っている人はいないかもだけど、絶対はあり得ない。
いつどこで誰が見てるかも分からないし。
「俺べつに今付き合ってる人とか、好きな人とかいないし」
川藤くんは優しいな。
私を傷つけないようにして。
私もそんな川藤くんの優しさを見習いたい。