夏色メモリー【完】
川藤くんも、私のことそうやって思ってくれていたんだ。
それだけで嬉しい。
そして、川藤くんは少し深呼吸をして、恐る恐る私の手を握った。
「川藤くん?」
「あのさ、夏休みだけじゃなくて、俺矢野さんと普段も話したいんだけど」
「え、私と……?」
私が問うと川藤くんはコクっと頷いた。
「最初はさ、俺も電車で会ったとき、うわあんまり話したことないクラスメートと会っちゃったって思ったわけよ」