夏色メモリー【完】
9月2日
夏休み明け、新学期。
「おはよう。矢野さん」
「川藤くん」
昇降口に着き、上履きに履き替えていると、川藤くんに後ろから軽く肩を叩かれた。
「今度さ、俺の好きなシリーズの映画の新作やるんだけど、一緒に観に行かない?」
川藤くんは、制服のポケットから映画館の前売り券を2枚取り出した。
「″愉快な仲間たち″で?」
「違うよ。今度は、俺と矢野さんで」
「えっ」
「一応、デートのお誘いってやつなんだけど」
川藤くんは少し顔を赤らめた。