夏色メモリー【完】
ときどき川藤くんのグループから聞こえてくる会話で、映画の話が聞こえてくるのを思い出した。
たしか、川藤くんは邦画よりも洋画の方が好きだって言ってたような気がする。
「矢野さんは?なんのアルバイト?」
「私は、野球場かな」
友達に誘われて、夏だけのアルバイト。
部活も週に1回なので、ちょっと社会経験にしてみようと思ったのだ。
「ああ、この近くにあるもんな。暑そうだけど頑張って」
アルバイト先の最寄りの駅に着いたのか、川藤くんは、じゃ、またなと言って電車から降りていった。