夏色メモリー【完】
「矢野さん、はコンタクトしてないよね?でもちょっと目ぇ茶色いよね?」
川藤くんは首を傾げ、隣に座る私の目を覗く。
その距離、30センチというところだろうか。
川藤くんの眼鏡にぶつかりそうになり、私は思わず目を閉じた。
「ごめん!いくらなんでも近すぎたよな」
川藤くんも少し自覚したのか、すごいスピードで顔を遠ざけた。
「ううん、大丈夫……」
夏の暑さなのか、はたまた川藤くんが近かったからだろうか……
私の体温が少し、上がった気がした。