神楽先生はそんなに甘くない。
靴を履き替えて数歩。自然と止まる私の足。
「......」
あれ。教室ってどこだっけ。
不思議なことに全く思い出せない。
別段広い校舎という訳ではない。なのに、何故か教室までの道順が記憶に残ってないのだ。
「...あ、そうだ。私って方向音痴だったんだ。」
これまた何故か忘れていた真実。
私は1回では必ずと言っていいほど道を覚えられない。なんなら5回くらい通らない限り覚えられないのだ。