太陽 ~出会い~

大人と子供

「そうなんですか?」

「ええ。わからない?」

「は、はい。教えて…くれませんか?」

「日向君、逃げたでしょ?」

「え?何から?」

「お母さんから。ちゃんと向き合おうとしなかった」

「そんな…ッ!!普通そんなことしないよ。捨てていかれた身になってみてよ…誰も自分を捨てた親になんて会いたくないよ…!!」

「そうね。それは、ここにいる子達は皆普通って思うわよね。」

「うん…」

「それが子供なのよ?」

「え…?どうしてですか?大人でも、普通会いたくないでしょ」

「あら?じゃあ何で向居先生は、ここに来たの?」

「そりゃ…偶然?」

「自分の子供を捨てた施設なんて覚えてるもんなのよ。それで、ここへ来た。ちゃんと、向き合おうとしたの。ちゃんと、『ごめんね』って言おうって決めてここへ来たの。その気持ちがわからなかった日向君は、まだまだ子供」

「でも…ッ!!」

「でも?」

「私の親は何で来ないの?」

「…え…」

「え?」

「ごめんなさい、薄々勘付いてると思ってたんだけど…」

「え…何の事ですか?」

「また、話すわね」

そう言って施設長は部屋へ戻っていった。

一体全体、私の親は今どうしているんだろう?

気になって気になって仕方がなくて、夜も眠れなかった。


大人と子供……そこの境目って、すごい難しいなって思った。
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