ナルシス
生きる為の苦労がなくなった今、光子は何を求めているのだろう。

何故、満たされないのだろう。

あの頃を思えば、夢のような生活。

ただ、生きることさえも不十分だったあの頃。



光子達を育てる為に必死で働く母。

母に代わって家事をする光子。

母と姉に生かされていると自覚していた恵子は、決してわがままを言わない。

三人肩を寄せ合って命を守るためだけの生活。
 



高校を卒業した光子が、より高い収入を求めたことは無理もない。

次は自分が母を助けようと思っても不思議はない。

その頃、母の体は働き過ぎて故障寸前だったから。
 

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