ナルシス
あの日の数日後、

いつものように9時過ぎに帰る夕璃。



灯りの点った家に驚き、

また朗が来ているのかと、そっと玄関を開ける。
 


「ユーリ、遅いよ。」出迎えたのは光子。
 

「ママ。どうしたの?」驚く夕璃に、
 

「ユーリ待っていて、お腹ペコペコ。」と光子は笑った。
 

「ごめん。誰もいないと思ったから。」と夕璃は素直に言う。
 

「これからは、週に3日だけ店に出ることにしたの。」と光子は言う。
 

「どうして。私の帰りが遅いから?」と聞く夕璃に、
 

「任せられる子ができたから。ママももう年だしね。」と笑顔で言う。

夕璃も笑顔になっていた。

光子が大好きだから。

いつも一緒にいたいと思っていたから。
 

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