ナルシス
たった一人の娘さえ幸せにできなくて、

サービス業で成功するはずがない。


今まで自分がやってきた仕事は、

上辺だけの成功で中は空っぽだったと、徹は思った。
 


徹や光子と素直に話す夕璃。

今までの寂しさや恨みを全部消して。

それ以上に、今一緒に過ごすことを喜ぶ夕璃。


意地らしくて、愛しくて、徹は切なくなる。
 
『俺が家族を見ようとしなかったから。』


この10年、夕璃にさせた寂しい思いは、どんなことをしても消せない。

取り返しのつかないことだったという思い。
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