ナルシス
夕璃を出産してから、徹は光子を求めなくなった。

徹の愛を信じて徹に付いて行こうと決めた光子を、優しく抱いた徹なのに。

初めての不安も恐怖も、すべてを取り除いて光子を温かく包んだはずなのに。
 

青く堅い光子を開くことに溺れる徹は、一つずつ教え導いていった。

光子が歓びを覚えると、それを深めることに夢中になった。

愛されている自信が光子をさらに輝かせ、徹を満足させてくれた。
 

妊娠した光子を労わる徹は、覚えたての歓びを光子から取り上げた。

すべて徹の優しさだから。


光子と子供の為に徹も我慢していると思うことは、光子に新しい自信をくれた。

だから光子は待っていた。
 
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