ナルシス
徹が経営している店は、綺麗な女の人がお酒の接待をするお店。

夜の大人の為の。

そんなお店を何軒も経営している徹は、やり手実業家と呼ばれていた。
 


「うちのママ、変わっているから。酔っ払いの相手をして、何が楽しいんだろう。」

お金に困っているわけでもないのに。

一人娘に寂しい思いをさせてまで。
 


「大人には、大人の事情があるんだよ。」

大人びた奈緒の言葉に、みんなで笑う。
 
「そうだね。高校生には高校生の事情があるしね。」

と夕璃も言う。
 


「そうだ、ユーリ。この間の男子、その後会っているの?」

高校生の事情。
 
「ううん。二人で会ったら、全然、面白くないの。やっぱり私は、年上の方がいい。」

背伸びしても、何も知らない夕璃。

本当は臆病で、慎重だから。
 
「車乗れないと、ドライブもできないし。」

強がって言っても友達は知っている。

夕璃が無謀な子ではないと。
 
「ユーリは叔父さんコンプレックスだからね。」

と笑う奈緒に、頬を膨らませる夕璃。
 
 
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