ナルシス
14
満たされない光子が夜、夕璃を置いて外出していると知らせたのは朗だった。
まだ小学生の夕璃を一人にして、光子はどこに行っているのか。
問い詰めると素直に謝る光子。
PTAの集まりとか、友達に会っていたとか。
本当か嘘かわからない言い訳をして。
光子を放っている徹は、強く責めることができない。
光子を責めることで自分が責められるから。
「大丈夫よ。徹さんを裏切ることはしていないから。」
そんな風に言う光子。
「ユーリはどうするんだ。一人で可哀そうじゃないか。」
小学生になった夕璃は登校時間が早くて、徹は起きられない。
朝のひと時さえも一緒に過ごせない徹に、夕璃のことで光子を責める資格はなかった。
「ユーリ、しっかりしているから。一人で自由に待っているわ。案外楽しそうよ。」
そんな光子の言葉にすがってしまう。
楽しいはずがないのに。
自分の弱さが光子に寂しい思いをさせ、夕璃から光子を奪ってしまった。
負い目を感じた徹は、仕事にのめり込んでいく。
順調に伸びていく仕事を言い訳にして。
皮肉なものでのめり込むほどに仕事はうまくいく。
仕事を全ての免罪符にして、徹は光子と夕璃の寂しさから目を逸らした。
まだ小学生の夕璃を一人にして、光子はどこに行っているのか。
問い詰めると素直に謝る光子。
PTAの集まりとか、友達に会っていたとか。
本当か嘘かわからない言い訳をして。
光子を放っている徹は、強く責めることができない。
光子を責めることで自分が責められるから。
「大丈夫よ。徹さんを裏切ることはしていないから。」
そんな風に言う光子。
「ユーリはどうするんだ。一人で可哀そうじゃないか。」
小学生になった夕璃は登校時間が早くて、徹は起きられない。
朝のひと時さえも一緒に過ごせない徹に、夕璃のことで光子を責める資格はなかった。
「ユーリ、しっかりしているから。一人で自由に待っているわ。案外楽しそうよ。」
そんな光子の言葉にすがってしまう。
楽しいはずがないのに。
自分の弱さが光子に寂しい思いをさせ、夕璃から光子を奪ってしまった。
負い目を感じた徹は、仕事にのめり込んでいく。
順調に伸びていく仕事を言い訳にして。
皮肉なものでのめり込むほどに仕事はうまくいく。
仕事を全ての免罪符にして、徹は光子と夕璃の寂しさから目を逸らした。