ナルシス
「ここ、ユーリがキスして汚したの。」
と背伸びして少年の頬を指さす。
古い絵だから言われなければ気付かない。
確かに少し茶色いけれど。埃か絵の具の劣化に見える。
何も言えずに徹と光子は顔を見合わせる。
二人は多分同じ思いだった。
黙っている両親に叱られると思ったのか夕璃は話し続ける。
「小さい頃はナルシスと一緒にいたから。チョコ食べてキスしたら、ナルシスに付いちゃったの。」
きまり悪そうに少し照れて話す夕璃を徹は抱きしめていた。
今の夕璃でも背伸びしないと届かない所。
小さな夕璃が、椅子を運んでくる姿が目に浮ぶ。
どんなに寂しかったのだろう。
何故夕璃を一人にしてしまったのだろう。
夕璃の心の傷を消す事はできるのだろうか。
「ユーリ。ごめん。」
おとなしく徹の胸に抱かれる夕璃はそっと顔を上げて、
「絵を汚して怒らないの?」と言う。
徹は泣きそうな思いを堪えて、優しく首を振りそのまま夕璃を抱き上げる。
「ほら。もう一度キスしてあげなさい。」
と夕璃をナルシスに近付けて。
と背伸びして少年の頬を指さす。
古い絵だから言われなければ気付かない。
確かに少し茶色いけれど。埃か絵の具の劣化に見える。
何も言えずに徹と光子は顔を見合わせる。
二人は多分同じ思いだった。
黙っている両親に叱られると思ったのか夕璃は話し続ける。
「小さい頃はナルシスと一緒にいたから。チョコ食べてキスしたら、ナルシスに付いちゃったの。」
きまり悪そうに少し照れて話す夕璃を徹は抱きしめていた。
今の夕璃でも背伸びしないと届かない所。
小さな夕璃が、椅子を運んでくる姿が目に浮ぶ。
どんなに寂しかったのだろう。
何故夕璃を一人にしてしまったのだろう。
夕璃の心の傷を消す事はできるのだろうか。
「ユーリ。ごめん。」
おとなしく徹の胸に抱かれる夕璃はそっと顔を上げて、
「絵を汚して怒らないの?」と言う。
徹は泣きそうな思いを堪えて、優しく首を振りそのまま夕璃を抱き上げる。
「ほら。もう一度キスしてあげなさい。」
と夕璃をナルシスに近付けて。