ナルシス
長い坂を登って家が見えた時、夕璃はハッとする。

いつも真っ暗な洋館に、灯りが点っている。



『ママ、お店じゃないのかな。』

遅く帰る夕璃を光子は咎めない。

夕璃の寂しさを知っているから。



『ママがいるなら、もっと早く帰ったのに。』

夕璃は光子が好きだから。
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