ナルシス
20
明るくはしゃいでいた夕璃が部屋に引き上げてから、徹と光子も寝室に入る。
「徹さん、ごめんね。私、ユーリをちゃんと見てあげなくて。」
光子は真っ直ぐ徹を見て言う。
徹は静かに首を振り、
「俺が光子に寂しい思いをさせたから。」と答える。
「でも私はユーリのママなのに。自分よりもユーリのことを、考えるべきだった。」
光子の目は潤んでくる。
気丈な光子は人前で涙を見せることは少ない。
「ナルシスのこと聞いて。私、辛かった。ユーリがどんな思いで居たのか考えると。取り返しのつかないことしたと思う。」
徹は静に光子の頭を抱く。
「俺も辛かった。明るく甘えるユーリが意地らしくて。本当に反省している。ユーリにも光子にも。」
どうしてもっと早く、こんな風に話さなかったのだろう。
「今からでも、取り返せるかな。」
すがるように徹を見つめる光子に、徹は強く頷く。
「取り返すしかないんだ。全力で。」
「そうだね。」光子の目から涙が流れる。
「泣くなよ。俺も泣きたくなるだろう。」
徹は光子を抱き寄せる。
「この間、ユーリに泣かれたの。仕事を減らして家にいるって言ったとき。ユーリ、私に抱き付いて泣いたの。」
光子に涙を見せたことで、少しでも夕璃の心が軽くなればいい。
「色々、我慢させていたんだね。少しずつユーリが素直に自分を出せるといいな。」
光子の髪を撫でながら徹が言う。
「徹さん、ごめんね。私、ユーリをちゃんと見てあげなくて。」
光子は真っ直ぐ徹を見て言う。
徹は静かに首を振り、
「俺が光子に寂しい思いをさせたから。」と答える。
「でも私はユーリのママなのに。自分よりもユーリのことを、考えるべきだった。」
光子の目は潤んでくる。
気丈な光子は人前で涙を見せることは少ない。
「ナルシスのこと聞いて。私、辛かった。ユーリがどんな思いで居たのか考えると。取り返しのつかないことしたと思う。」
徹は静に光子の頭を抱く。
「俺も辛かった。明るく甘えるユーリが意地らしくて。本当に反省している。ユーリにも光子にも。」
どうしてもっと早く、こんな風に話さなかったのだろう。
「今からでも、取り返せるかな。」
すがるように徹を見つめる光子に、徹は強く頷く。
「取り返すしかないんだ。全力で。」
「そうだね。」光子の目から涙が流れる。
「泣くなよ。俺も泣きたくなるだろう。」
徹は光子を抱き寄せる。
「この間、ユーリに泣かれたの。仕事を減らして家にいるって言ったとき。ユーリ、私に抱き付いて泣いたの。」
光子に涙を見せたことで、少しでも夕璃の心が軽くなればいい。
「色々、我慢させていたんだね。少しずつユーリが素直に自分を出せるといいな。」
光子の髪を撫でながら徹が言う。