ナルシス
そして戻ってきた徹は、甘く熱く光子を満たす。

若い頃よりも狂おしく。
 

「徹さん。ゆるして。」

押し寄せる波に飲まれ溺れながら切ない声で言う。
 
「駄目だ。まだ許せない。」

徹も眉を寄せて切なく責め続ける。

堪えきれずに沈んでいく光子に、徹も飲み込まれていく。
 


照れた目で光子を見つめる徹に、
 
「これからお店なのに。」

と気怠く責める光子。
 


「今日は少しだけ顔を出せばいいよ。」

光子が店に出ることを嫌だと言った徹。
 
「そうね。お休みしようかな。」

甘えるように言う光子に頷く徹。
 


「後で俺が回ってくるよ。ユーリも光子と話したいだろう。」

ベッドを下りて身支度をしながら徹は言う。
 

「サボり癖がついたわ、私。徹さんのせいよ。」

長い髪を手早くまとめながら、光子は徹を甘く睨む。
 
「それでいいの。」と徹も甘く見つめた。
 
 
< 87 / 90 >

この作品をシェア

pagetop