トワイライト(下)
【明日は振替休日にして置くわ、彼と仲良く過ごして頂戴】
お風呂上りにベッドの縁に腰を下ろし、彼女からのメッセージを読んで自然に笑みが零れる。
バスタオルで隠し持った贈り物を傍らに置き、どう切っ掛けを作ればいいかを考えていた。
綺麗に包装された細長い物に添えた小さな箱、勘の良い人ならば見ただけで分かってしまう中身。
彼が喜ぶ顔は殆ど想像出来ず、思い浮かぶのは罰の悪そうな顔ばかり。
少しは笑ってくれるだろうかと甘い期待を抱きながら彼女にメッセージを返す。
【ありがと、また何かあったら電話して】
【そんな野暮な事するわけないでしょ、今日はたまたまよ】
直ぐに返って来た言葉を眺め、彼女の佇まいを描いて勇気の出ない自分を振り払った。
「マジか……」
その言葉を聞いても何を指すのか分からず、ただ姿を見つめて呆然としてしまう。
浴室から出て来た彼は異国人のようにタオルを頭から首に巻いており、上半身裸のままで此方に近付くと自分の腕を容易く掬い上げて言った。
「ちゃんと乾かさないと風邪ひくから、こっち来て」
「いいよ、自分でするから、子供じゃないんだし……」
そう言っても彼は聞く耳すら無く、半ば強引にソファーに座らせて告げる。
「いいから、黙って座ってて」