トワイライト(下)

「また呼び出し?」

「ううん、気になって来て見ただけ」


どちらからともなく自然に手を繋ぎ、同じ間隔で歩きながら会話が始まる。


「そっか……茅紗、一緒に携帯変えに行こうか、お互い古いから、そのうち壊れるだろうし」

「うん?まだ使えるし、いいよ」

「もう新しくしても良いと思う、携帯もお揃いのにしようか、それか色違いにしても良いし」


唐突な提案に戸惑い気味に返すと、彼は並べ立てるように口にして笑みを零した。

その顔を眺めながら断るのも悪いかと思い、増えていく揃いの物を浮かべて思わず頬が緩む。

鼻の下が伸びるような顔つきを戻してる間に駐車場に着き、当たり前のように助手席のドアが開かれ、乗り込むのを確認した彼は静かにドアを閉めた後で少しだけ周りを見渡した。

シートベルトを閉める間際に見えた前とは違う紙袋、恐らくは"本命"などと呼ばれる品が入ってると思われる可愛らしい小さな物。

見ない振りをしてもベルトを掛ける指先が震え、些細な嫉妬に駆られて彼の言葉を待つ自分が情けなくなった。

もしかすると彼の物では無いのかもしれない、ふと短い溜息を吐いた横目にハンドルを持つ手が滑り落ちる。

「もしかして、具合悪い?」
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