トワイライト(下)
それでも何かが自分の心を突き動かしていた。
「大丈夫だから……遼葵は、お父さん以上に大事にしてくれてるよ……たまに少し嫉妬したり、心配したりもするけど……その分、ちゃんと言ってくれるから……不安なんて、あっと言う間、に……」
一瞬にして強く抱き締められて身動き一つも出来ず、呼吸も間々ならない中で彼が耳元で囁く。
「茅紗……愛してる……」
その唇は耳元を弄び、艶めかしい息と共に何度も言葉が響く。
「遼葵……ま、だ……終わってな、い……」
生温かい先が躊躇わずに滑り込み、口内を荒々しく這い回る。
押し倒されそうな勢いの激しさに息を吐く隙を無くし、絡んだ手が解けて裾から忍び寄った指先が肌に触れた時、不意に押し出すように身体を離して彼は何時もの顔をして言った。
「……ごめん……茅紗が可愛すぎて……止まらなくて……今度やったら、殴っていいから……」
「……それは、言い過ぎだと思う、でも、ありがと……うれしい……」
絶えず注がれる気持ちに答えが正しいかなど問うことは今の自分には無理に近く、それでも目の前に差し出される片手が告げてくれる。