トワイライト(下)
互いに軽く頷いて見せ、他愛の無い会話が続いていく。
「寂しい?」
「……少し」
鋏の嚙み合う音に広がったケープを滑り落ちる短い髪、鏡越しに目が合って逸らすと優しく頭の位置を直して真剣な眼差しを向ける表情。
「本当に少し?」
不意に見せる悪戯に笑う顔と髪の毛を摘む指先、険しさを纏う中に垣間見える妥協の無い面持ち。
「大丈夫だよ、子供じゃないんだし」
「一人でも平気なの?」
「だから、大丈夫だよ……」
静かな店内に二人の笑う声が響き、そっと鋏を置いて彼は優しく告げる。
「もう何も気にしなくていいし、一人で出掛けても良いから、時々メールして」
「分かった、邪魔しないようにする」
不安げな表情に心配そうな面持ちは既に遠い場所に向いてるのが分かった。