トワイライト(下)

人目も気にせずに並んで歩くのは未だに慣れず、駐車場までの道程が前より短く感じた。

自然に開かれた助手席に乗り込み、シートベルトを掛ける間際に見えた後部座席の紙袋。
僅かな一瞬で身を引いた横から頼りない声が聞こえてくる。


「茅紗、ごめん……断れなくて……」

「あ……ううん、少し驚いただけで気にしないから……」


予想を超えた紙袋の数に目も当てられず、手から滑ったシートベルトを引いて誤魔化した。


「ごめん……ちゃんと捨てるから……」

「別に……何も、そこまで、しなくても……」


けれど動揺した手では上手く嵌められずに逸れてしまい、口にした言葉すらも覚束無いまま。


「いや、何入ってるか分からないし、怖いから……」


冷静に判断する彼に何も言えなくなり、また唇を嚙んで黙り込んでしまった。

不意に柔らかいものが頬に触れ、少し甘さの持った声が耳の近くで響く。

「茅紗……こっち向いて……」

その言葉に顔を上げた瞬間に近付く唇を手で塞いだ。

「人が……見てる……」
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