トワイライト(下)

「周りの目なんか気にしないで、俺達もう付き合ってるんだし」

「そう……だけど……」


「そんなに俺とするのが嫌?」


「……そうじゃない、けど……」


軽い言い合いをする中で彼が抱える不安に自分を求めて解消したいのは分かっていた。
多分、その場で強引にされても何の躊躇いも無く受け入れてしまう。

気まずさだけが漂う狭い車内で彼は自分を抱き寄せて耳元で囁く。


「好きだよ……茅紗……」


その一言で子供みたいに拗ねていた感情は一瞬にして消え去り、奪うようにして塞いだ唇は激しく求めながらも愛を伝えていた。

呼吸を忘れてしまうほどのキスが胸を締め付け、静かに離れていく顔を目にして込み上げた粒が頬を濡らす。


「ごめん……余裕なくて……泣かないで……」


首を振って応えるしか出来ない自分の頬を親指で拭い、困った顔をしながらも言葉を選んで語った。


「茅紗のこと、泣かせるつもりでした訳じゃないから……本当にごめん……」
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