保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
拗ねないで
涼々 side
気に食わない。
さっきから。
ふたりでコソコソと。
みんなで昼食を食べ終わり、泉の提案で俺たちはグループを分けて行動することになった。
けど。
「お似合いだなぁ」
「え、」
ふれあいコーナーに向かいながら、前を歩くふたりの背中を眺めていたら、
自然と俺の横を歩いていた秋津 百合が突然口を開いたのでびっくりする。
郁田さんと同じクラスでバレー部。
他の仲良しメンバーの人たちに比べたら、性格は大人しい方だとは思う。
そんな彼女が唐突に、ふたりの背中を見つめたまま呟くんだから、
スルーできるわけない。
「あ、ごめんね。夏目くん、菜花のこと気に入ってるのに」
「気に入ってるって、そりゃ好きだけど、俺はみんなのこと同じように好きだよ。秋津さんのことだって大切」
俺がそういえば、秋津さんが少し頬を赤く染めてから
「ふふっ、どうも。さすがみんなの夏目くん」
と言って笑った。
俺の悪い癖。
でも、もうずっとこんな生き方しかしていなくて、これ以外の方法がわからない状態だ。