保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

今まで自分の感情に罪悪感を抱いたことなんてないのに。

同じ状況の中、自分本位な自分がほんの少し嫌なやつだなって思えて。

でも……。

濡れて冷えた身体を必死に温めようと「はぁー」と自分の手のひらに息を吹きかける郁田さんに、

どんどん、やらしい感情が大きくなる。

シースルーの袖が雨に濡れて肌にピタッと密着して、

郁田さんの細くて白い肌がさらにはっきりと見える。

こんな状況で変なこと考えるなっていう方が無理では。

肌に張り付いた衣服が、身体のラインを強調させて、

郁田さんが、というより、世界が俺のことを煽って見える。

「……郁田さん、寒いよね」

「ん、ちょっと」

両手をギュッと組みながら答えているのを見る限り、絶対ちょっとどころじゃないはずなのに。

絶対に強がるんだから。
< 122 / 335 >

この作品をシェア

pagetop