保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
ありえないありえないありえない。
夏目くんにはもう二度とそういうことをされないようにって心に決めたつもりだ。
夏休み。やっと解放されたと思ったのに。
こんな仕打ちったらない。
「何もしないって言ったのにっ」
「郁田さんが隙だらけなんだもん」
「……っ、」
言葉がうまく出てこなくて悔しさで下唇を噛む。
「男のいうことなんて簡単に信じちゃダメだって。特に俺のいうことは」
「……っ、さいってい、」
ニヤッと口角を片方上げた話し方にイライラが募る。
「けど、俺は嬉しいよ。少しは俺のこと信じてくれたってことだから」
「……帰る」
身体に力を入れて彼の手を振りほどこうとした瞬間、
「……ちょっ!」
私の身体はあっという間にベッドへと押し倒された。
「へ〜?帰るの?いいんじゃない?頑張って振りほどくことができれば」
「っ、」
終わった。完全に。最悪の状況だ。
少なからずこの状況を作り出した自分にも腹が立つ。
時間を巻き戻せるならそうしたい。
たしかに夏目くんのいうことは一理あるから。
ほんの少しの自分の間違った決定が、油断が、気の緩みが、今の自分の首を締める。
「フッ、観念しなよ」
「嫌だっ!」
「ほんと強情だね。興奮する」
そう言う夏目くんに、指先で私の顎をツーっとなぞられる。