保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
これって……。
夏目くんの普段見えてる白い肌とは全然違う。
背中のその一面と二の腕の後ろ、他のところにもポツポツと
明らかに皮膚の色が変わっていた。
正面からは全然わからなかったもの。
見ているだけで痛々しくて、ギュッと胸を強く掴まれるような気持ちになる。
「フッ、汚いでしょ」
「えっ……」
衝撃的すぎて、喉に何かつっかえたみたいに声が出ない。
なんなの、これ。
まるで、今まで私が見ていた夏目くんとは別人の彼がそこにいるみたいな感覚に襲われる。
本当の彼は、ここにいるみたいな。
「……自分でも良くわかんないんだけど……郁田さんには、ちゃんと言いたくなったっていうか。体育出ない理由、ごまかしたままだったし」
「……えっと、」
夏目くんが体育の授業を受けないこととこの背中の傷跡が関係しているってことなの?
「その、郁田さんが聞いてあげてもいいって言ってくれるなら、話させて欲しいんだけど」
あんまり弱々しい顔で言うんだもん。
それに、ずっと気になっていたことだから。
「…………うん、聞く」
私はそう言って夏目くんの話に耳を傾けた。