保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「あっ、ごめ、大きな声出して……」
「いや、全然」
「その、怖いって思うのは当然だよっ。夏目くんの経験したことは私には想像もできないぐらい大変なものだったに違いないから、簡単に『わかる』なんて言われるのは嫌だろうけど、でも、夏目くんのその感情は絶対間違ってない」
「……郁田さん、」
なにもかも怯えていたあの頃の自分の隣に。
彼女がいてくれたら。
どんなに救われたんだろう。
「夏目くんは、この傷が憎いって言ったけれど、私は……」
彼女の瞳から、一筋の涙が落ちて頬を伝った。
「私は……夏目くんの身体が、必死に生きようと、夏目くんのことを守ろうとした『証し』だって思うから。夏目くんのことも、夏目くんの身体のことも、『いっぱい頑張ったんだ』だって思うよ」
「……っ、」
郁田さんがわからない。
俺にいたずらばかりされて、嫌な気持ちにさせたはずなのに。
そんな俺に対して、なんでそんな言葉がかけられる?