保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
喉に何かが詰まったような感覚と同時に目頭が熱くなる。
すごいな、郁田さん。
この傷に呪われている。
ずっとそう思っていたのに。
俺がこの傷を呪っていたんだって気付かされて。
「郁田さん、俺のこと嫌いなんじゃないの」
「えっ、」
「なんで嫌いな人にそこまで言ってくれるの。そんなこと言われちゃ、勘違いしちゃうんだけど」
ヘラッと笑って見せれば、郁田さんが涙を軽く拭いながら顔を険しいものに戻した。
「勘違いって……変なことしようとする夏目くんは嫌いだよ。けど、小学生の頃の夏目くんは、嫌いじゃない」
「フッ、その言い方ずるいなぁ、」
「……痛かったよね、」
「え?まぁ、当時は……ね」
俺の背中を再び見つめて呟く彼女の声があんまり優しいから。
調子狂う。
嫌いなくせに。
無意識に寄り添うんだから。