保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
優木先生の何かを思い出したような声とパタパタと慌てたような急ぎ足の音。
足音がだんだんと遠のいて、再び保健室がシーンとする。
優木先生、出て行ったのかな?
「よし」
隣にいた夏目くんがベッドから降りて、カーテンの隙間から辺りを確認する。
「行ったみたい」
「はぁ……よかった。寿命縮んだよ……」
先生にバレなかったことの安心感で一気に身体の力が抜ける。
「それで、私が二股ってどういうこと?」
夏目くんと会ったばかりは、恐れ多いって気持ちから同級生にも関わらず敬語を使っていたけど、
イメージとは真逆な人だってわかってしまった以上、今はもう必要ない。
全然身に覚えのないことを突然言われちゃうし。
「どういうって、そのまんまだけど。郁田さんが中学のとき二股していたって話。結構有名な話しだと思っていたけど、まさか本人が知らないとは……」
「なにそれ……」