保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
目線を自分の胸元に向けて。
自分が今、夏目くんのスウェットを着ていることを再確認する。
「あ、あの、これは、えっと……」
すぐに挨拶をしないと失礼なのはわかっているのに、
この格好を見られてしまったことへのパニックで、うまく言葉が出てこない。
「郁田さん、俺の母さん」
「あっ、は、はいっ。はじめましてっ、夏目くんと同じ学校の郁田菜花ですっ。えっと、さっき大雨で、その、洗濯機お借りしていていて、あの、」
バッとベッドから立ち上がって深々とお辞儀しながら自己紹介をする。
「あ〜だから涼々の服を」
なんだか嬉しそうに笑いながらそういう夏目くんのお母さんは、
「フッ、そんなにかしこまらなくても」
って優しく言ってくれたけど。
友達のお母さんとだって話すときは緊張するのに、
夏目くんのお母さんとしかもこんな格好を見られて話すことになるなんて。
どうしていいかわからなくなるに決まってる。