保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

嫌な思いをさせてしまったかな。
でも、私はそう思ってしまったから。

それに、私だって、夏目くんに嫌な思いばっかりさせられてるんだから。

今日ぐらい、ヅケヅケと踏み込んでも別に許されると思う。

「血が繋がっていようがいまいが、思いやりが大切なのも、言葉にしないと伝わらないのも、一緒に過ごしてきた時間で築けられるのも同じだと思う。私は、夏目くんだけが『血が繋がってない』ってその事実で自分を呪って閉じこもってるように見えるよ。もっと素を出してもいいんじゃない?」


今更夏目くんに気を使うことなんて、私にはこれっぽっちもないから。


思ったことを、言いたいことを言うよ。


「……っ、本当の俺なんて知られたら嫌われるに決まってる。今までずっと優等生で通してきたんだから。今更。ていうか、郁田さんだって俺の本性知ってから俺のこと嫌いでしょ」

「まぁ、それはそうだけど」

「そこ否定してくれないんだ」

「私の気持ちと夏目くんの家族の気持ちが同じだなんて思うのは、ふたりに失礼だよ」

「……っ、」

「夏目くんを養子として迎えてからずっと今までなに不自由なく育ててくれたんでしょ?その歳月を過ごした人と、まだ話して数ヶ月の私となんて比べたら、ダメでしょう」
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