保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「……あー……、ほんと。変な人だね郁田さんは」

「夏目くんに言われたく……っ、!!」


──ギュッ

突然、さらに視界が真っ暗になったかと思えば、高い体温に身体が包み込まれた。

ちょっと待って。

嘘でしょ。

外で、抱きしめられてる?!

いつ人が通ってきてもおかしくないようなところでなにやってんの!?

「ちょ、あの、夏目くん!?」

「……ムカつくなぁ」

そう言いながら、彼はさらに私を抱きしめる力をギュッと強くして。


「……それはこっちのセリフなんですが」


でも。

夏目くんの抱えてる悩みがどれくらい大きくて複雑なのか知らないから。

今日だけは。

この一瞬だけは。

ほんのちょっと、許してあげてもいいかもと思った。
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