保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「え、洋服?」

「……うん」

何かを思い出したのか、静かに答えてズンズンとお店の奥へと進む彼の背中を追う。

そこは、主にルームウェアをあつかう女の子には特に人気のお店。

ふわふわの手触りと可愛らしいデザインの評価が高いらしい。

少しいい値段がするからなかなか手が出せなくて私も未だに着たことがないんだけど。

「なにか思い出したの?」

「うん。前に、瑠々に言われたの思い出して。俺と同じ格好がしたいって言われたことあるんだ。あの時は多分、制服を着たがってたんだと思うけど……」

そう言いながら、夏目くんが一つの商品を手に取った。

紺色を基調とした生地になにやら小さな柄が散りばめられた質の上品なパジャマ。

よく見るとその柄は、今人気のクマのキャラクターだった。
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