保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
「瑠々へ。お誕生日おめでとう。5歳、もう立派なお姉さんだね」
手紙の出だしに、瑠々ちゃんが嬉しそうに「フフッ」と笑う。
「瑠々に手紙を書くって決めてから、今日まで、瑠々との楽しかった思い出をたくさん思い出していたよ。瑠々がお母さんのお腹にいるってわかって、瑠々が生まれて。最初はね、お母さんたちを瑠々に取られちゃうんじゃないかって怖いときもあったんだ」
「……っ、」
夏目くんの手紙の言葉に、ママさんが目頭に手を当てた。
「けどね、瑠々とたくさん話していっぱい遊んで。お兄ちゃんは瑠々のことがどんどん大好きになっていったよ。瑠々が「涼々」って呼んでくれるたびに嬉しい。笑ってお兄ちゃんに飛びついてくる瑠々がだいすきだよ。これからもたくさん笑う瑠々でいて欲しいです。こんなお兄ちゃんだけど、5歳になってもよろしくね。 涼々より」
「……っ、」
夏目くんが手紙を読み終わると、ママさんとパパさんが泣きながらティッシュで顔を拭い出した。
きっとふたりも今までたくさん思うことがあったかもしれない。
私にはその気持ちを知ることはできないけれど、少しでもふたりにも夏目くんの気持ちが
伝わっていたらいい。
そして、同時に、この家族の守っているものがいかに大きいものなのかを痛感して。