保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。



「よかったね!お手紙作戦大成功だった」

無事に誕生日会が終わって遊び疲れた瑠々ちゃんを寝かしつけて。

暗くなった夜道を夏目くんと一緒に歩く。

「郁田さん、今日は本当にありがとう。今日だけじゃなくて、瑠々のこと色々」

普段と比べて少し声のトーンが低いので、真剣に心から思ってくれているのかもしれない。

「いや、私は何もしてないよ。ちゃんと手紙を書いたのは夏目くんでしょ?それに……偉そうなことたくさん言ってしまったから、ちょっと申し訳なかったなって……」

「偉そうなこと?」

「うん。ごめんなさい」

夏目くんと夏目くんの家族の抱えていること、その大きさ、それを何も知らない私が偉そうに夏目くんを説教してしまったから。

夏目くんがたくさん考えて悩んで吐き出した想いを『夏目くんは子供なんだ』って。

夏目くんの瑠々ちゃんやご両親への思い。
誕生日会を一緒に過ごして、やっと気付いた。

お互いが壊さないように壊さないように守っているものがあって。

守るために、夏目くんがいろんなことを押し殺してきたのかもと考えれば考えるほど、私なんかが偉そうに口出していいことじゃなくて。

夏目くんのまっすぐな思いを綴った手紙の内容を聞いて、嬉しい気持ちと同時に、恥ずかしいことをしてしまったとひとり反省会が止まらなくて。
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